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令和5年度 近畿支部事業報告

 令和5年度近畿支部の事業計画に基づき実施した主な事業は次のとおりです。

1.会員資質と専門的知識、技術力の向上を図るための講演会、研修会、講習会の開催について

 令和5年度は、会員資質と専門的知識、技術力の向上を図る目的で講演会、研修会、講習会の開催を目指しましたが、集合形式の研修も実施しつつ、基本はWebでの開催を検討・実施しました。

< 講 演 会 >
① 「第47回通常総会 記念講演会」
  日 時 : 令和5年5月19日(金)
  場 所 : 大阪キャッスルホテル
  テーマ: 「京都地下に眠る千年の水脈」
  講 師 : 関西大学教授 楠見 晴重 氏
  受講者 : 会員 72名

< 研 修 会 >
 令和5年度も昨年度に引き続き集合形式での研修も実施しましたが、基本はWebによる研修を実施しました。
 研修会の開催要領及び受講者は次のとおりです。

① 令和5年度 第1回実務研修会
  日 時 : 令和 5年 6月 7日(水) 
  会 場 : 大阪府教育会館「たかつガーデン」
  テーマ及び講師 :
  1.最近の情勢について
    講師:近畿地方整備局用地部 用地補償・土地調整管理官 上枝 新治 氏  
  2.令和5年度 業務発注について
    講師:近畿地方整備局 用地部 用地企画課 課長補佐 堀田 徹也 氏
  3.令和5年度 補償基準の改正について
    講師:近畿地方整備局 用地部 用地補償課 補償基準係長 長縄 和樹 氏
  4.令和5年度 近畿用対連補償算定標準書について
    講師:近畿地方整備局 用地部 用地補償課 課長補佐 林 広志 氏
  受講者: 会員 187名、 非会員 27名   合計 214名

② 令和5年度 第2回実務研修会
  日 時: 令和5年10月3日(火)
  会 場: 大阪公立大学付属植物園
  テーマ: 「自然生林の樹種等の特徴及び見分け方について」
  講 師: 株式会社キミコン 兵庫支店 谷口 久司 氏
  受講者: 会員 34名、 非会員 1名   合計 35名

③ 令和5年度 第3回実務研修会
  日 時: 令和5年12月12日(火)
  会 場: Web方式(Zoom使用)
  テーマ: 「通常生ずる損失の補償の根本を考える
        -土地収用の沿革と通常生ずる損失の補償についての理解」
  講 師: 株式会社 ユニオンリサーチ 技術顧問 小林 訓 氏
  受講者: 会員 79名、 非会員 6名   合計 85名

④ 令和5年度 第4回実務研修会
  日 時: 令和6年2月22日(木)
  会 場: Web方式(Zoom使用)
  テーマ: 「失敗から学ぶ-用地交渉編」
  講 師: 近畿地方整備局 淀川河川事務所 用地対策官 岡根 辰男 氏
  受講者: 会員 36名、 非会員 8名   合計 44名

< 講 習 会 >
 講習会は、近畿支部の「標準補償算定システム」の操作実技に関する講習会と「独占禁止法」に関する講習会を開催しました。
 実施した講習会の開催要領及び受講者は次のとおりです。
① 令和5年度 「JCC近畿支部標準補償算定システム」操作技術研修会
  日 時: 令和5年7月28日(金)
  会 場: 近畿支部事務局
  テーマ: システムを利用した簡単な木造倉庫の補償額算定技術研修
  ビデオ講師:(株)国土開発センター    上坂 佳伸 氏
        (株)コム建築コンサルタント 浜 晋作 氏
  サポート :(株)国土開発センター    新田 武志 氏
        (株)コム建築コンサルタント 浜 晋作 氏
         テクノコーポレーション(株)中村 稔人 氏
  受講者 : 会員 19名

② 独占禁止法講習会
  日 時: 令和6年2月22日(木)
  会 場: Web方式(Zoom使用)
  テーマ: 「独占禁止法の遵守に向けて」
  講 師: 公正取引委員会事務総局 近畿中国四国事務所
             総務課  江村 玲奈 氏
  受講者: 会員 39名、 非会員 8名   合計 47 名

2.起業者主催の研修会等への講師の派遣

 昨年度に引き続き、起業者からの依頼に基づき研修会に補償コンサルタント協会近畿支部の会員を講師として派遣いたしました。
 (令和5年度に近畿支部が講師派遣した研修会等)
① 近畿地区用対連用地事務職員(専門研修)  2会員
② 京都府 用地職員研修           1会員

3.優秀な人材を育成し確保するための方策の実施について

1)専門学校に対する「補償講座」の実施
 用地補償業務としての優秀な人材を育成し確保するため、令和5年度も学校法人創真総合技術学園近畿測量専門学校の「夏期補償講座」に6名の講師を派遣し、(一社)日本補償コンサルタント協会発行の「補償業務概説(改訂23版)」をもとに講義を実施しました。

2)専門学校等へのPR活動の実施
 優秀な人材を確保するための令和5年度の活動として、高校、専門学校、大学などに対する人材確保のための(一社)日本補償コンサルタント協会のPR活動を順次展開するとしていましたが、準備・調整が整わず実施することができませんでした。

4.補償相談等への対応について

 会員や会員以外又は起業者からのメールや電話による標準書やその他補償に関する質問・相談等に対し、近畿地区用対連に問い合わせるなどスムーズな対応に心がけました。
 主な相談等は次のとおりです。
   ・損失補償基準の取扱いについて 3件
   ・近畿地区用地対策連絡協議会標準書の取扱い・内容について 2件
   ・補償コンサルタント業務の発注方法や業務内容について 2件
   ・事業損失について 2件
   ・災害協定について 1件

 上記以外に、補償業務管理士登録更新講習会の受講にあたってCPDポイントが必要になるため、それに関する質問が数件ありました。また、補償業務管理士の資格に関する質問も数件ありました。

5.補償業務に必要な関係図書の斡旋について

 用地補償業務を実施する際に参考となる図書類等の斡旋については、本部から会員に案内されていますが、支部からも必要に応じて会員専用メール等を活用し、会員に情報提供しました。

6.補償コンサルタント協会会員の業務受注の拡大について

1)行政機関等への「要望書」の提出及び意見交換会の実施
 令和5年度の要望活動は、昨年度に引き続き、3項目の「本部要望書」と、近畿支部の各会員から提出された要望事項11項目をまとめた「令和5年度近畿支部要望書」をもとに、令和5年10月31日の近畿地方整備局用地部に対する要望活動を皮切りに、各府県や政令指定都市など16の起業者に対して要望活動を行いました。

《 本部要望書 》
1.人材の確保と業務の環境の改善
  (1)企業の健全な発展と技術者の処遇改善
     ①補償コンサルタントの業務量の拡大
     ②地域コンサルタントの活用の拡大
     ③発注歩掛の継続的見直し
     ④技術者単価等の引き上げ
     ⑤担い手の確保・育成
  (2)業務環境の改善
     ①発注手続きにおける補償業務管理士の評価の拡大
     ②適正工期の設定、納期の平準化等
2.品質の確保・向上
  (1)用地業務の合理化・迅速化等に係る対応
  (2)施工能力、技術力の適正な評価
  (3)補償コンサルタントCPDの活用
3.協会会員の一層の活用について 

《 近畿支部要望書 》
1.用地関係業務の適切な発注及び変更が生じた場合の処理について
2.より多くの企業への受注機会の拡大について
3.最低制限価格の引き上げについて
4. 補償金算定等に関する運用及び様式の統一について
5.機械設備の見積徴収について
6.地盤変動影響調査業務について
7.駐車場の使用実態調査に係わる業務費積算内容について
8.近畿支部標準補償算定システムの採用について
9.災害応急対策業務に関する協定の締結と災害復旧にかかる補償業務管理士活用について
10.土地政策推進連携協議会における補償コンサルタント業務について
11.「働き方改革」へのご理解とご協力について

 近畿地方整備局に対する要望活動には、近畿支部より中村支部長、武田副支部長、小笠副支部長及び水上幹事の4名が出席し、近畿地方整備局からご出席頂いた中見用地部長はじめ山根用地調整官、岡本用地調査官、原田用地企画課長、上枝用地補償・土地調整管理官に、本部要望書、近畿支部要望書をもとに会員からの声について具体的事例を挙げるなどして実態の改善を要望しました。
 特に、我々補償コンサルタント協会の会員が品質の高い成果物を責任もって納入するために、また、各会員企業が継続的に人材を確保していくために、さらに、政府が政策としてすすめる「働き方改革」を実行していくためには、適正な積算歩掛の適用及び契約変更や各起業者の補償金算定等に関する運用及び様式の統一が必要不可欠であるとして強く訴えました。
 また、近年の課題である「受注機会の拡大」「機械設備の見積徴収」「地盤変動影響調査業務」などを含む11項目について要望しました。
 近畿地方整備局からは、近畿支部の要望書に対してそれぞれの各要望事項に対する回答をいただき、「業務契約において発注者と受注者は対等な関係であり、あたかも発注者が優越的地位を有するかのようなふるまいは許されません。当初設計における業務内容及び業務期間については、事前に現地踏査等により可能な限り把握したうえで、適正な発注となるように努めて参ります。また、業務内容に変更が生じた場合は、受注者と協議の上、履行期間及び請負代金の変更を行うなど、引き続き適正な発注に努めて参ります。」として理解を示されました。
 さらに、運用等の不統一に関する要望についても、「起業者によって補償金算定方法の平仄が図られるよう、近畿地区用地対策連絡協議会を活用するなどして、起業者間の連携に努めて参ります。」とご理解を示されました。
 また、「より多くの企業への受注機会の拡大」では、「これまでの業務チャレンジ型での発注業務の結果に対する評価、導入に適した発注内容の整理など検討を進めていく」とご理解を示されました。「土地政策推進連携協議会における補償コンサルタント業務について」では「これらの課題は多岐にわたるため、今後の地方公共団体等への支援にあたり貴協会の培ってきた実績と知見がこれまで以上に重要になるものと認識しておりますので、更なる協力をお願いします。」と回答されました。
 さらに、「働き方改革へのご理解とご協力」については、「ウィークリー・スタンスの推進について、業務着手時の打合せにおいて受発注者間で確認、調整の上、実施することとし、業務の円滑かつ効率的な実施をはかるため、Web会議の積極的な活用も含め、ウィークリー・スタンスの推進に取り組んで参ります。」として理解を示されました。
 意見交換においては、われわれの業界の多くが中小零細企業であり、継続的な技術者の育成と優秀な人材の確保などを行っていくためには補償コンサルタントの業務量の確保が重要であり、公共事業予算の安定的な確保をお願いしました。
 また、石綿含有建物の調査費用の問題、災害対応、用地業務のDX化などについても、活発な意見交換を行いました。
 各府県や政令市などの起業者の皆様に対しましては、特に、依然として会員から改善要望の絶えない、適正な変更契約や適正歩掛による発注、機械設備の見積徴収依頼に対する起業者の配慮等に関する問題について、近畿支部要望書をもとに近畿支部の役員が現場実態と具体的事例をあげて改善を要望いたしました。
 各府県や政令市などの起業者におきましては、要望に該当しない項目や既に改善や対策済の項目等もありましたが、要望書の趣旨や実情等については概ねご理解を頂きました。

2)近畿地方整備局「用地補償技術研究会」への参画
  用地調査等業務における業務改善の検討や成果物の検証、発注業務の更なる適正化等ついて、用地調査等業務を現場で統括する補償コンサルタントと近畿地方整備局との技術交流と意見交換の場として平成27年度に開設した「用地補償技術研究会」に令和5年度も補償業務委員会の委員が近畿支部を代表して積極的に参画し意見を述べました。
 令和5年度も補償業務委員会メンバーをA班・B班・C班と班分けをして、近畿地方整備局用地部と意見交換等を行いました。

《第19回用地補償技術研究会》
日 時: 令和 5年 6月 29日(木)
【A班】駐車場減少と営業補償について
【B班】駐車場使用実態調査の考え方と方法
【C班】NPO法人の休止補償について

《第20回用地補償技術研究会》
日 時: 令和 6年 3月 19日(火)
 ・令和4・5年度用地補償技術研究会報告書(営業補償関係の考察)について
 ・来年度の予定について


 3)「近畿地区土地政策推進連携協議会」への協力団体としての参画
 平成30年6月13日に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が公布され、近畿地方整備局では平成31年2月1日に管内法務局、府県、政令市等の行政機関と用地業務等に関係する協力団体による「近畿地方所有者不明土地連携協議会」を設立しました。その後、会の名称が「近畿地区土地政策推進連携協議会」に変更されました。
 令和5年6月28日の通常総会において、令和5年度活動計画が決定され、本協議会の構成員である我々近畿支部は、積極的に本協議会の行事に参加しました。
 また、令和6年1月24日には、大阪府内の市町村を対象とした「補償用地支援業務講習会」に参加し、補償コンサルタント業務の説明を行いました。

7.「近畿支部補償標準算定システム」の普及拡大等について

 近畿支部が独自に開発した「近畿支部標準補償算定システム」の普及拡大につきましては、導入会員はもとより未導入会員や非会員にも参加を呼びかけ「小規模な木造建物を手早く算定する」をコンセプトとしたシステム操作技術講習会をWeb で開催しました。
 なお、例年行っている要望活動や意見交換会を通じて、また近畿支部報においてシステムの紹介をするなど、普及拡大に努めました。

8.補償コンサルタント業務の広報・宣伝について

1)支部報による広報活動の実施
 令和5年度の広報活動は、「近畿支部報」の第80号及び第81号を発行して会員に配布するとともに、155の起業者(国:59、府県:52、市町:19、その他の公共事業者:25)に対して配布し、近畿支部の活動状況や会員情報のPR等を行いました。
2)会員情報の提供と宣伝等
  起業者等への会員情報の提供と宣伝を目的に、会員名簿(令和5年7月末日現在)を作成し、会員及び起業者に配布を行い、会員の積極的な活用を訴えました。
 また、支部の「ホームページ」や「近畿支部報」に最新の会員情報を掲載し、起業者に対して会員情報のPRに努めました。

9.補償コンサルタント業務に関する情報共有及び情報交換について

 支部機関誌「近畿支部報」による情報共有だけでなく、(一社)日本補償コンサルタント協会近畿支部の会員限定ホームページや会員専用メールを活用し、協会本部や近畿支部の活動内容及び補償業務に係る諸情報を会員に対してタイムリーに情報提供するよう努めました。 

10.「補償標準書(単価表)」の会員への貸与について

 補償業務の円滑な執行に寄与するため、近畿地区用対連から令和5年度版の「基準・要領編」「建物工作物編」「立木編」「通常損失補償編」「工損標準単価表」の単価表、歩掛書及び「近畿地区用対連運用申し合わせ」の貸与を受け、CDに編纂して貸与を希望される会員及び非会員に貸与しました。
 また、兵庫県用対連からも令和5年度版「補償標準単価表」(兵庫県版)の一括貸与を受けて必要とする会員に貸与しました。

11.大規模災害の被災地等の復旧・復興への支援について

 東日本大震災や熊本地震、令和3年7月豪雨、能登半島地震等、災害等の復旧復興関連業務については、「(一社)日本補償コンサルタント復興支援協会(以下、「復興支援協会」という。)が受注し、業務実施会員募集案内や参加希望の取りまとめなどの連絡調整等の業務については復興支援協会と協会本部との協議をもとに協会本部からの指示により実施することとなっています。
 令和5年度は、近畿支部に対する指示が無く連絡調整業務は実施しませんでした。 

12.会員親睦事業の実施について

 会員相互の親睦や交流によって組織の連携強化を図ることを目的とした同好会等の会員親睦事業につきましては、新型コロナ感染予防対策を徹底しながら、以下の行事を実施しました。

 ① 第72回JCC親睦互留歩大会
   日  時: 令和5年4月20日(木)
   場  所: チェリーヒルズゴルフクラブ(兵庫県三木市)  
     参加者: 16名
 ② 第17回魚釣り(イサギ)大会
   日 時: 令和5年6月17日(土)
   場 所: 和歌山県日ノ御埼沖
   参加者: 10名
 ③ 第11回イカ釣り大会
   日 時: 令和5年7月8日(土)
   場 所: 兵庫県香美町香住区
   参 加 者: 8名
 ④ 第73回JCC親睦互留歩大会
   日 時: 令和5年10月26日(木)
   場 所: センチュリー三木ゴルフ倶楽部(兵庫県三木市)
   参加者: 18名
 ⑤ 秋のハイキング
   日 時:令和5年11月18日(土)
   場 所:JR野洲・石山寺
   参 者: 36名

13.「新春交礼会」の開催

 新しい年の門出を祝い、会員相互の親睦と交流を深めることを目的に、令和6年1月19日(金)、大阪キャッスルホテルにて令和6年「新春交礼会」を開催いたしました。
 今年で8回目を数える「新春交礼会」は、多くの会員にご参加頂くと共に、来賓として近畿地方整備局から中見用地部長、岡本用地調査官ほか用地部幹部の方々、協会本部からは清水会長にご出席頂き、総勢60名の出席となりました。
 また、参加会員同士による、新年のご挨拶や名刺交換、来賓の方々との意見交換など非常に活発盛大な「新春交礼会」となりました。

14.海外用地補償制度等の調査研究及び視察について

 協会本部が実施する、海外の用地補償制度等の調査研究及び視察については、コロナ禍を契機として視察が中止となっています。

15.役員会及び委員会の活動状況

 令和5年度の役員会及び委員会による支部活動状況は次のとおりです。
   (1)役員会            10回
   (2)委員会

総務委員会  1回
研修委員会  2回
補償業務委員会  5回
補償システムIT委員会  2回
企画・広報委員会  2回(うち集合+Web2回)
親睦委員会  1回
           計 13回(うち集合+Web2回)

16.協会本部委員会等への参加

 協会本部の各委員会等に担当役員が委員として出席し、それぞれの本部委員会のテーマに関する近畿支部の意見、考え方を反映しました。

 令和5年度の本部委員会の状況は次のとおりです。
     (1)本部 総務委員会             3回
   (2)本部 企画・広報委員会            3回
   (3)本部 補償業務委員会           3回
      ・ 固定資産家屋評価補助業務受託分科会  2回
   (4)本部 研修委員会             3回

17.会員の現況及び「補償コンサルタント登録」の状況

令和 6年 4月 1日現在
               正 会 員 数                             91社
               賛助会員数                                1社
                                                    合計 92社 です。
令和5年度新規入会員は0、資格喪失会員0、退会会員が2。