令和6年度 近畿支部事業報告
令和6年度近畿支部の事業計画に基づき実施した主な事業は次のとおりです。
1.会員資質と専門的知識、技術力の向上を図るための講演会、研修会、講習会の開催について
令和6年度は、会員資質と専門的知識、技術力の向上を図る目的で講演会、研修会、講習会の開催を目指しましたが、集合形式の研修も実施しつつ、基本はWebでの開催を検討・実施しました。
< 講 演 会 >
① 「第48回通常総会 記念講演会」
日 時 : 令和6年5月16日(木)
場 所 : 大阪キャッスルホテル
テーマ: 「最近の気候変動に伴う水害の激化を踏まえた流域治水」
講 師 : 京都大学 防災研究所 特任教授 井上 智夫 氏
受講者 : 会員 91名
< 研 修 会 >
令和6年度も昨年度に引き続き集合形式での研修も実施しましたが、基本はWebによる研修を実施しました。
研修会の開催要領及び受講者は次のとおりです。
① 令和6年度 第1回実務研修会
日 時 : 令和 6年 6月12日(水)
会 場 : 大阪府教育会館「たかつガーデン」
テーマ及び講師 :
1.最近の情勢について
講師:近畿地方整備局 用地部 用地企画課 課長補佐 近藤 孝昭 氏
2.令和6年度 業務発注について
講師:近畿地方整備局 用地部 用地企画課 課長補佐 堀田 徹也 氏
3.令和6年度 補償基準の改正について
講師:近畿地方整備局 用地部 用地補償課 補償基準係長 林 和毅 氏
4.令和6年度 近畿用対連補償算定標準書について
講師:近畿地方整備局 用地部 用地補償課 課長補佐 野田 宗利 氏
受講者: 会員 191名、 非会員 30名 合計 221名
② 令和6年度 第2回実務研修会
日 時: 令和6年9月19日(木)
会 場: Web方式(Zoom使用)
テーマ: 「損失補償を受ける者及び反射的利益の喪失について」
講 師: 株式会社 ユニオンリサーチ 技術顧問 小林 訓 氏
受講者: 会員 124名、 非会員 15名 合計 139名
③ 令和6年度 第3回実務研修会
日 時: 令和6年12月10日(火)
会 場: 大阪府教育会館「たかつガーデン」+Web方式(Zoom使用)
テーマ: 「公共用地取得の現状と起業者支援に向けた取り組み」
講 師: 阪高プロジェクトサポート株式会社 代表取締役 藤村 浩三 氏
受講者: 会場: 会員 73名、非会員 9名、起業者30名 合計 112名
Web: 会員 97名、非会員15名、起業者31名 合計 143名
全体: 会員170名、非会員24名、起業者61名 合計 255名
④ 令和6年度 第4回実務研修会
日 時: 令和7年2月20日(木)
会 場: Web方式(Zoom使用)
テーマ: 「建築基準法(令和4年法律第69号)について」
講 師: (株)技研 住宅部取締役 浅野 彰 氏
住宅部 課長 櫻木 康司 氏
受講者: 会員 82名、 非会員 8名 合計 90名
< 講 習 会 >
実施した講習会の開催要領及び受講者は次のとおりです。
① 令和6年度 第1回近畿支部標準補償算定システム操作技術研修会
日 時: 令和6年7月26日(金)
会 場: Web方式(Zoom使用)
テーマ: システムを利用した木造2階建住宅の推定再建築費算定技術研修
ビデオ講師:(株)国土開発センター 上坂 佳伸 氏
(株)国土開発センター 新田 武志 氏
司 会: 補償システムIT委員会委員長 今井 信宏 氏
サポート:補償システムIT委員会委員
テクノコーポレーション(株)
受講者 : 会員 32名、 非会員 6名 合計 38名
② 独占禁止法講習会
日 時: 令和7年2月20日(木)
会 場: Web方式(Zoom使用)
テーマ: 「独占禁止法の遵守に向けて」
講 師: 公正取引委員会事務総局 近畿中国四国事務所
経済取引指導官 奥居 孝士 氏
受講者: 会員 80名、 非会員 8名 合計 88 名
2.起業者主催の研修会等への講師の派遣
昨年度に引き続き、起業者からの依頼に基づき研修会に補償コンサルタント協会近畿支部の会員を講師として派遣いたしました。
(令和6年度に近畿支部が講師派遣した研修会等)
① 近畿地区用対連用地事務職員(専門研修) 2会員
② 兵庫県阪神南地区用地対策連絡会 用地職員研修 1会員
3.優秀な人材を育成し確保するための方策の実施について
1)専門学校に対する「補償講座」の実施
用地補償業務としての優秀な人材を育成し確保するため、令和6年度も学校法人創真総合技術学園近畿測量専門学校の「夏期補償講座」に6名の講師を派遣し、(一社)日本補償コンサルタント協会発行の「補償業務概説(改訂24版)」をもとに講義を実施しました。
2)専門学校等へのPR活動の実施
優秀な人材を確保するための令和6年度の活動として、高校、専門学校、大学などに対する人材確保のための(一社)日本補償コンサルタント協会のPR活動を順次展開するとしていましたが、準備・調整が整わず実施することができませんでした。
4.補償相談等への対応について
会員や会員以外又は起業者からのメールや電話による標準書やその他補償に関する質問・相談等に対し、近畿地区用対連に問い合わせるなどスムーズな対応に心がけました。
主な相談等は次のとおりです。
・損失補償基準の取扱いについて 6件
・補償コンサルタント業務の発注方法や業務内容について 3件
・事業損失について 3件
上記以外に、補償業務管理士登録更新講習会の受講にあたってCPDポイントが必要になるため、それに関する質問が数件ありました。また、補償業務管理士の資格に関する質問も数件ありました。
5.補償業務に必要な関係図書の斡旋について
用地補償業務を実施する際に参考となる図書類等の斡旋については、本部から会員に案内されていますが、支部からも必要に応じて会員専用メール等を活用し、会員に情報提供しました。
6.補償コンサルタント協会会員の業務受注の拡大について
1)行政機関等への「要望書」の提出及び意見交換会の実施
令和6年度の要望活動は、昨年度に引き続き、3項目の「本部要望書」と、近畿支部の各会員から提出された要望事項11項目をまとめた「令和6年度近
畿支部要望書」をもとに、令和6年10月29日の近畿地方整備局用地部に対する要望活動を皮切りに、各府県や政令指定都市など16の起業者に対して要望活動を行いました。
《 本部要望書 》
1.人材の確保と業務の環境の改善
(1)企業の健全な発展と技術者の処遇改善
①補償コンサルタントの業務量の拡大
②地域の補償コンサルタントの活用の拡大
③発注歩掛の継続的見直し
④技術者単価等の引き上げ
⑤
低入札価格調査基準の引き上げ
⑥担い手の確保・育成
(2)業務環境の改善
①発注手続きにおける補償業務管理士の評価の拡大
②適正工期の設定、納期の平準化等
2.品質の確保・向上
(1)用地業務の合理化・迅速化等に係る対応
(2)施工能力、技術力の適正な評価
(3)補償コンサルタントCPDの活用
3.協会会員の一層の活用について
《 近畿支部要望書 》
1.用地関係業務の適切な発注及び変更が生じた場合の処理について
2.より多くの企業への受注機会の拡大について
3.最低制限価格の引き上げについて
4. 補償金算定等に関する運用及び様式の統一について
5.機械設備の見積徴収について
6.地盤変動影響調査業務について
7.駐車場の使用実態調査に係わる業務費積算内容について
8.近畿支部標準補償算定システムの採用について
9.災害応急対策業務に関する協定の締結と災害復旧にかかる補償業務管理士活用について
10.土地政策推進連携協議会における補償コンサルタント業務について
11.「働き方改革」へのご理解とご協力について
近畿地方整備局に対する要望活動には、近畿支部より中村支部長、武田副支部長、久冨副支部長及び水上幹事の4名が出席し、近畿地方整備局からご出席頂いた中見用地部長はじめ山根用地調整官、川﨑用地調査官、服部用地企画課長、上枝用地補償・土地調整管理官に、本部要望書、近畿支部要望書をもとに会員からの声について具体的事例を挙げるなどして実態の改善を要望しました。
要望書に対する回答の前に、中見用地部長からは、「DXの推進」についての協力依頼、「起業者支援のあり方」について、今後もお互い連携していきたい旨のあいさつがありました。
近畿地方整備局からは、近畿支部要望書の各項目について回答がなされました。
「より多くの企業への受注機会の拡大について」では、「これまでの業務チャレンジ型での発注業務の結果に対する評価を行い、課題を整理したところであり、これを踏まえ、来年度の発注にあたって、業務チャレンジ型業務発注について、対象範囲の拡大や、発注ロットの考え方の見直しを行うなど、より多くの企業に受注機会を提供できるように取り組んで参ります。」と昨年度より踏み込んだ回答を示されました。
「土地政策推進連携協議会における補償コンサルタント業務について」では、「これらの課題は多岐にわたるため、今後の地方公共団体等への支援にあたっては、貴協会の培ってきた実績と知見がこれまで以上に重要となるものと認識しておりますので、更なるご協力をお願いします。」と回答を示されました。
「働き方改革」へのご理解とご協力について」に対しては、「業務の円滑かつ効率的な実施をはかるため、Web会議の積極的な活用も含め、ウィークリー・スタンスの推進に、一層取り組んで参ります。また、働き方改革を進める観点からも官民一体となってDXを推進することが重要と考えておりますので、ご協力をお願います。」との回答を示されました。
さらに要望項目以外でも、業界の人材確保の問題、用地業務のDX化を今後どのように進めていくか、技術者単価は引き上げられているが、発注件数が増えないと、低入札が増えてくる問題や、特に近畿支部内に令和6年度に「起業者支援業務委員会」を立ち上げ、起業者、特に用地職員が不在もしくは減少している市町村に対して、起業者支援をいかに展開していくかについて、活発に議論をいたしました。
各府県や政令市などの起業者の皆様に対しましては、特に、依然として会員から改善要望
の絶えない、適正な変更契約や適正歩掛による発注、地盤変動影響調査業務に関する問題について、近畿支部要望書をもとに近畿支部の役員が現場実態と具体的事例をあげて改善を要望いたしました。
また、用地職員の人材育成や普段の用地業務で困っていることや用地業務のDX化についても活発に議論をいたしました。
各府県や政令市などの起業者におきましては、要望に該当しない項目や既に改善や対策済の項目等もありましたが、要望書の趣旨や実情等については概ねご理解を頂きました。
なお、協会本部による国土交通省への要望活動は、国土交通省の財務省等への要望時期を踏まえ、より効果を期待して、令和6年7月25日に行いました。協会側は、清水会長、間瀬副会長、原田副会長、横打副会長、須田専務理事、市川企画部長が出席し、国土交通省側は、中田土地政策審議官、高山土地政策課長、吉田公共用地室長、表課長補佐ら本省幹部に対して実施いたしました。
2)近畿地方整備局「用地補償技術研究会」への参画
用地調査等業務における業務改善の検討や成果物の検証、発注業務の更なる適正化等ついて、用地調査等業務を現場で統括する補償コンサルタントと近畿地方整備局との技術交流と意見交換の場として平成27年度に開設した「用地補償技術研究会」に令和6年度も補償業務委員会の委員が近畿支部を代表して積極的に参画し意見を述べました。
《第21回用地補償技術研究会》
日 時: 令和 令和 7年 1月 27日(月)
・標準単価の追加要望について
・近畿地整用地部からの問題提起についての意見交換
3)「近畿地区土地政策推進連携協議会」への協力団体としての参画
平成30年6月13日に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が公布され、近畿地方整備局では平成31年2月1日に管内法務局、府県、政令市等の行政機関と用地業務等に関係する協力団体による「近畿地方所有者不明土地連携協議会」を設立しました。その後、会の名称が「近畿地区土地政策推進連携協議会」に変更されました。
令和6年5月20日の通常総会において、令和6年度活動計画が決定され、本協議会の構成員である我々近畿支部は、積極的に本協議会の行事に参加しました。
また、今年度は各府県の意見交換会に積極的に参加し、補償コンサルタント協会として意見を述べました。
・大阪府 第1回 令和6年9月10日(火)、第2回 令和7年1月31日(金)
テーマ: 用地取得の円滑化
・奈良県 第1回 令和6年11月6日(水)、第2回 令和7年2月17日(月)
テーマ: 土地政策の推進
・兵庫県 第1回 令和7年2月12日(水)
テーマ: 地籍調査の活用等による公共用地取得の円滑化
7.「近畿支部補償標準算定システム」の普及拡大等について
近畿支部が独自に開発した「近畿支部標準補償算定システム」の普及拡大につきましては、導入会員はもとより未導入会員や非会員にも参加を呼びかけ「システムを利用した木造2階建住宅の推定再建築費算定技術研修」をコンセプトとしたシステム操作技術講習会をWeb で開催しました。
なお、例年行っている要望活動や意見交換会を通じて、また近畿支部報においてシステムの紹介をするなど、普及拡大に努めました。
8.補償コンサルタント業務の広報・宣伝について
1)支部報による広報活動の実施
令和6年度の広報活動は、「近畿支部報」の第82号及び第83号を発行して会員に配布するとともに、153の起業者(国:59、府県:51、市町:18、その他の公共事業者:25)に対して配布し、近畿支部の活動状況や会員情報のPR等を行いました。
2)会員情報の提供と宣伝等
起業者等への会員情報の提供と宣伝を目的に、会員名簿(令和6年7月末日現在)を作成し、会員及び起業者に配布を行い、会員の積極的な活用を訴えました。
また、支部の「ホームページ」や「近畿支部報」に最新の会員情報を掲載し、起業者に対して会員情報のPRに努めました。
9.補償コンサルタント業務に関する情報共有及び情報交換について
支部機関誌「近畿支部報」による情報共有だけでなく、(一社)日本補償コンサルタント協会近畿支部の会員限定ホームページや会員専用メールを活用し、協会本部や近畿支部の活動内容及び補償業務に係る諸情報を会員に対してタイムリーに情報提供するよう努めました。
10.「補償標準書(単価表)」の会員への貸与について
補償業務の円滑な執行に寄与するため、近畿地区用対連から令和6年度版の「基準・要領編」「建物工作物編」「立木編」「通常損失補償編」「工損標準単価表」の単価表、歩掛書及び「近畿地区用対連運用申し合わせ」の貸与を受け、CDに編纂して貸与を希望される会員及び非会員に貸与しました。
また、兵庫県用対連からも令和6年度版「補償標準単価表」(兵庫県版)の一括貸与を受けて必要とする会員に貸与しました。
11.大規模災害の被災地等の復旧・復興への支援について
東日本大震災や熊本地震、令和3年7月豪雨、能登半島地震等、災害等の復旧復興関連業務については、「(一社)日本補償コンサルタント復興支援協会(以下、「復興支援協会」という。)が受注し、業務実施会員募集案内や参加希望の取りまとめなどの連絡調整等の業務については復興支援協会と協会本部との協議をもとに協会本部からの指示により実施することとなっています。
令和6年度は、近畿支部に対する指示が無く連絡調整業務は実施しませんでした。
12.会員親睦事業の実施について
会員相互の親睦や交流によって組織の連携強化を図ることを目的とした同好会等の会員親睦事業につきましては、新型コロナ感染予防対策を徹底しながら、以下の行事を実施しました。
① 第74回JCC親睦互留歩大会
日 時: 令和6年4月 9日(火)
場 所: チェリーヒルズゴルフクラブ(兵庫県三木市)
参加者: 17名
② 第18回魚釣り(イサギ)大会
日 時: 令和6年6月8日(土)
場 所: 和歌山県日ノ御埼沖
参加者: 12名
③ 第12回イカ釣り大会
日 時: 令和6年7月27日(土)
場 所: 兵庫県香美町香住区
参 加 者: 8名
④ 第75回JCC親睦互留歩大会
日 時: 令和6年10月23日(水)
場 所: 有馬カンツリー倶楽部
参加者: 16名
⑤ 秋のハイキング
日 時:令和6年11月9日(土)
場 所:JR新長田・神戸須磨シーワールド
参 者: 38名
13.「新春交礼会」の開催
新しい年の門出を祝い、会員相互の親睦と交流を深めることを目的に、令和7年1月17日(金)、大阪キャッスルホテルにて令和7年「新春交礼会」を開催いたしました。
今年で9回目を数える「新春交礼会」は、多くの会員にご参加頂くと共に、来賓として近畿地方整備局から中見用地部長、山根用地調整官ほか用地部幹部の方々、協会本部からは清水会長にご出席頂き、総勢70名の出席となりました。
また、参加会員同士による、新年のご挨拶や名刺交換、来賓の方々との意見交換など非常に活発盛大な「新春交礼会」となりました。
14.海外用地補償制度等の調査研究及び視察について
協会本部が実施する、海外の用地補償制度等の調査研究及び視察については、コロナ禍を契機として視察が中止となっています。
15.役員会及び委員会の活動状況
令和5年度の役員会及び委員会による支部活動状況は次のとおりです。
(1)役員会 10回
(2)委員会
総務委員会 | 1回 |
研修委員会 | 2回 |
補償業務委員会 | 3回 |
補償システムIT委員会 | 3回 |
企画・広報委員会 | 2回 |
親睦委員会 | 2回 |
起業者支援業務委員会 | 3回 |
計 | 16回 |
16.協会本部委員会等への参加
協会本部の各委員会等に担当役員が委員として出席し、それぞれの本部委員会のテーマに関する近畿支部の意見、考え方を反映しました。
令和6年度の本部委員会の状況は次のとおりです。
(1)本部 総務委員会 | 3回 |
(2)本部 企画・広報委員会 | 3回 |
(3)本部 補償業務委員会 | 3回 |
・ 固定資産家屋評価補助業務受託分科会 | 2回 |
(4)本部 研修委員会 | 3回 |
17.会員の現況及び「補償コンサルタント登録」の状況
令和 7年 4月 1日現在
正 会 員 数 89社
賛助会員数 1社
合計 90社 です。
令和6年度新規入会員は0、資格喪失会員0、退会会員が2。