令和6年度 近畿支部事業計画
令和5年度は、新型コロナ感染症が感染症法上の分類が5類に移行となり、完全に収束したとはいえないながらも、極力普通の生活を取り戻すべく活動をして参りました。
国際情勢としては、ロシアがウクライナに侵攻して2年が経過しながら、いまだに解決の糸口が見えない事態が継続し、またパレスチナでは、イスラエルとハマスの戦闘が継続し、世界がどこに向かうか不透明な時代になっています。
そのような中、国の令和6年度予算が令和6年3月28日に一般会計総額が112兆5,717億円で成立しました。当初予算が100兆円を超えるのは6年連続となりました。
国土交通省関係については、「国民の安全・安心の確保」、「持続的な経済成長の実現」「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」を3本柱に、令和5年度補正予算と合わせて切れ目なく取組を進め、施策効果の早期発現を目指す。その際、「5か年加速化対策」後の国土強靱化の着実な推進に向け、改正国土強靱化基本法に基づき、施策の実施状況の調査など、「実施中期計画」の策定に向けた検討を進める。また、令和6年能登半島地震からの復旧・復興に全力を尽くすなどとしております。
公共事業関係費は6兆828億円となっており、用地補償関係の事業も一定の増加が期待されるところです。
我々一般社団法人日本補償コンサルタント協会近畿支部としては、公共事業を通じて地域社会の公共の福祉に寄与することを使命とした組織として、国や府県、市町村などの公共事業施行者(起業者)からの信頼と期待にこたえるためにも、会員が常に知識技能を研鑽し、専門職業家としての資質の向上を図るとともに、業界の経営基盤の確立と一層の発展を目指して、令和6年度は、以下の事業を実施して参ります。
1.会員資質と専門的知識、技術力の向上を図るための講演会、研修会、講習会の開催について
補償コンサルタント業務に携わる技術者(補償業務管理士等)が補償に関する専門家として起業者の期待に応えうるよう、必要な技術力と資質の向上を図るとして平成28年度に「補償コンサルタントCPD制度」が運用されすでに8年が経ち、補償業務管理士資格の登録更新のために一定のCPD取得ポイントが必要になることもあり、会員のCPD制度に対する関心が非常に高くなってきています。
近畿支部におきましては、こういった状況を踏まえ、Web方式も利用した補償業務に関する基礎的研修や専門的研修及び用地補償業務に役立つ講演会や講習会などを実施します。研修講師は会員の内部講師だけでなく、起業者からも講師に招き、行政の立場からの研修も実施いたします。
また、研修内容やテーマによっては会員だけでなく広く起業者や非会員にも参加を呼びかけるなどして実施いたします。
さらに、用地補償業務の様式の統一と業務の合理化を図るとして近畿支部が推奨している「近畿支部標準補償算定システム」の普及と操作技術の習得のため、令和6年度も引き続き既導入会員及び未導入会員だけでなく非会員にも参加を呼びかけ「操作技術講習会」を開催いたします。
2.起業者主催の研修会等への講師の派遣
起業者主催の研修会等への講師の派遣については、昨年度に引き続き、起業者の信頼と期待に応えるため積極的に近畿支部の会員を講師として派遣することといたします。
3.優秀な人材を育成し確保するための方策の実施について
昨年度に引き続き補償コンサルタント業界が必要とする優秀な人材の育成に資するため、「補償講座」が開設されている学校法人 創真総合技術学園近畿測量専門学校(大阪市東住吉区)の「夏期集中講座」に近畿支部から講師を派遣し「補償講座」を実施します。
また、昨年度実施ができなかった補償コンサルタント業界の高校、専門学校、大学などに対する人材確保のためのPR活動について具体の実施方法等について検討することとします。
4.補償相談等への対応について
会員や非会員、起業者等からの用地補償に係る相談等については、今年度も丁寧かつ的確に対応するよう努めると共に会員のPRも併せて行います。
5.補償業務に必要な関係図書等の斡旋について
補償業務に必要な図書等の斡旋については、今年度も引き続き会員専用メールや会員専用ホームページを活用し、協会本部からの依頼の都度、情報提供していきます。
6.補償コンサルタント協会会員の業務受注の拡大について
要望活動や意見交換会の場は、起業者と業務受注者である近畿支部会員の理解と認識を深める場として、また、近畿支部会員の業務受注の拡大やPRを行う場として極めて有意義な場であるため、令和6年度においても、近畿地方整備局や関係起業者に対して本部作成の「要望書」と会員からの要望を集約した近畿支部独自の「要望書」を作成して、積極的に要望活動を展開していきます。
また、昨年度に引き続き近畿地方整備局との「用地補償技術研究会」においては用地補償業務の実務上の問題点などを受注者サイドから洗い出し、受注業務に対する統一した運用や業務受注の拡大などについて近畿地方整備局をはじめとする近畿地区用対連の会員起業者に対して積極的に提言していきます。
さらに、「近畿地区土地政策推進連携協議会」においても、これまで補償コンサルタントとして培ってきた用地補償に関するスキルをもとに協力団体としての立場で受注業務の拡大のため積極的に参画していきます。また、市町村の用地事務支援を行うため、「補償用地支援業務講習会」などに参加し、補償コンサルタント業務を積極的にPRしていくように努めます。
7.「近畿支部補償標準算定システム」の普及拡大等について
用地調査等業務の成果物の各種様式を統一することにより調査漏れや違算等を少なくし、成果物の品質の向上と業務効率の向上を図ることを目的に近畿支部が独自に開発した「近畿支部標準補償算定システム」の普及拡大につきましては、昨年度に引き続き、さらに多くの会員にご利用頂くためシステムの操作性や能率の更なる向上をめざして、未導入会員や非会員を含めたシステム操作技術講習会を開催し、その普及拡大に努めます。
また、今年度は起業者に対しても、例年実施している要望活動や意見交換会を通じて、システムに対する認識を深めていただくことに加えて、起業者向けのシステム講習会を実施し、新たな普及に結びつける予定です。
さらに近畿支部報、近畿支部ホームページを活用するなどして、起業者や非会員に対するシステムの広報を展開していきます。
8.補償コンサルタント業務の広報・宣伝について
補償コンサルタント業務の広報・宣伝につきましては、昨年度に引き続き「本部広報誌」、「近畿支部報」、「会員名簿」等の起業者への配布を行うとともに、近畿支部のホームページに近畿支部会員の情報や近畿支部の組織、近畿支部の活動、「近畿支部標準補償算定システム」の案内などを掲載するなど広報及び宣伝に努めます。
また、地方公共団体等起業者に対して実施する要望活動や意見交換の場を通じ、補償コンサルタント登録制度や補償業務管理士及び総合補償士などの資格制度について積極的なPRを行い近畿支部会員の業務受注の拡大促進に努めることとします。
さらに、高校、専門学校、大学などへの人材確保のための補償コンサルタント業務に関するPR活動について検討します。
9.補償コンサルタント業務に関する情報共有及び情報交換について
会員との情報共有及び情報交換の手段の一つとして、支部機関誌「近畿支部報」を発行するとともに、さらに近畿支部ホームページ「会員限定コーナー」や、「会員専用メール」を積極的に活用し、協会本部の活動や近畿支部の活動、行事予定をはじめ近畿地区用対連の活動情報など会員に対する有益情報のタイムリーな提供に努めます。
10.「補償標準単価表」の会員への貸与について
「補償標準単価表」の会員への貸与については、今年度も近畿地区用対連及び兵庫県用対連より一括貸与を受け、支部で作成して必要とする会員に貸与します。
11.大規模災害の被災地等の復旧・復興への支援について
能登半島地震をはじめとする大規模災害の被災地等の復旧・復興への支援につきましては、支部として協力できる部分は限られてきていますが、協会本部の要請に応じてできるかぎりの協力を行っていきます。
また、地方自治体に対して、近畿支部の会員には災害時の緊急対応業務に対応できる用地補償のスキルがあることをPRし、特に府県に対しては、近畿支部との災害協定の締結についても提案していきます。
12.会員親睦事業への助成について
会員相互が親睦活動を通じて交流し理解を深めることにより、組織の強化等を図る一環として、今年度も会員親睦事業に広く会員の参加を募るとともに、活動の一部には助成を行います。
13.「新春交礼会」の開催
新しい年の門出を祝い、近畿支部会員相互の親睦と交流をより一層深めるため「新春交礼会」を開催します。
14.海外用地補償制度等の調査研究及び視察について
協会本部が実施する、海外の用地補償制度等の調査研究及び視察については、協会本部からの案内をもとに会員専用メールや会員限定ホームページを利用して会員に情報提供し、参加の斡旋と募集を行ってきましたが、昨今のコロナ禍の状況等を鑑みて、真に調査研究等参加が必要と判断される時に、参加を検討することになりました。
15.役員会及び各委員会活動について
今年度も、支部活動の充実と近畿支部会員の利益と地位の向上のため、役員会及び各委員会がそれぞれの目的に沿って積極的に活動して参ります。
16.協会本部委員会等への参加について
協会本部の委員会及び分科会への参加については、昨年度の引き続き近畿支部より各委員会に委員を送り、近畿支部会員の意見の反映と本部の諸活動の推進に努めることとします。