「キノコ神社」という神社
幹事 奥山 幸司
暦の上では寒さもピークを過ぎ、春に向かっているというが、実際にはまだまだ厚手のコートを手離せない今日この頃、皆様はいかがお過ごしだろうか。
わが家は休日の折には、一家総出であちこちに出かける事が多いが、こう寒いとついつい出不精になりがちになる。
出かける際は、車で行けるが休みでないと少し遠いという程度の土地で、その土地の名産品を食べたり、ということだけでなく行き先を細かく限定せず、あちらこちらと寄り道をする。寄り道をするのは路上で商う花屋の前であったり、田舎道にポツンとある小さな民芸品屋だったり、また山の中で珍しい植物を見るためだったりするため、寒すぎるのは少しつらい。(寒い時期だからいい、というものもまたあるのだが)
この時期は家で、「春になったらココへ行こう」などと、暖かくなった時のプランを考えるのが、我が家の楽しみの一つである。
ところで、皆様は、自分が住んでいるごく近くに意外な物、あるいは場所があるかも知れないと考えた事はあるだろうか。
私は、滋賀県草津市に10年以上住んでいるが、つい最近まで全く知らなかった、変わったスポットを見つけた。
草津市の東の郊外にある「菌神社」である。“菌”は「クサビラ」と読み、キノコを意味するのだそうだ。630年頃この付近でひどい飢饉があり、人々は餓死寸前に追い込まれた。その時、森やその周辺一帯にそれまで無かったキノコが大発生した。人々は、このキノコを食べる事で飢餓の難をまぬがれた。これを人々は神意の顕れであるとして、その以前からあった神社を「菌神社」と呼ぶようになったそうだ。
ある本を読んで、「キノコ神社」と愛らしい俗称で呼ばれるこの神社の存在を知った。調べてみると、日本全国には、限られた近隣の住民しか知らない土俗神がたくさん祀られているようだ。各々個性豊かなエピソードがあり、非常に興味深い。
「キノコ神社」は、木々に囲まれた小さな神社であるが、実は私はまだ中に足を踏み入れた事は無い。今年の春は、このごく近くにあったとても興味深い神社に、家族で行ってみようと話している。
探してみれば、なにも遠出しなくても、皆様のごく近くにも意外に興味深いスポットがあるかも知れない。